「部活、はじめたんだよね」
内緒にしていたことをとうとう絵奈にばらしてしまった。
いや、部活はじめたこと自体は秘密にしたかったわけじゃなくて、なんとなく、言い出せなかっただけなんだけど。
「うそ、部活って、それほんと?」
絵奈はやっぱり驚いていた。そうだろうなって思う。
あたしが1年生のときに辞めた部活、またはじめるなんて、絵奈は思いもしなかっただろう。
あたし自身だってそうなんだから。
「まさかさ、陸上部に戻ったの?」
「ううん、違うよ。さすがに陸上部には戻らない」
「じゃあ何?」
「……笑わない?」
「場合によっちゃ笑うけど」
「……天文学部」
「は?」
いや、うん。気持ちはすごくわかる。
ぽかんとした顔。うんうん、あたしが絵奈でも同じ顔してる。
「……笑う準備してたけど突拍子もなさすぎて笑えないわそれ。何、そんな部活あんの?」
「うん……あったらしい」
「いや、てか天文学部って何してんの? 星見たり? あんたってそういうの興味あったっけ?」
「んーん、全然なかったんだけど、高良先生の誘いで」
まあそれは嘘なんだけど。だって本当は無理やり入れられたようなもんだし。