「彼女でもないくせに何なの?」
「気持ち悪いんだよ!毎日毎日つきまとってストーカーかよ!」
集中攻撃を受けて、私は言い返す暇もない。
たぶん、この人たち柊先輩のことが好きなんだろうなぁ。だから私のことが気に入られないのはわかる。
言われっぱなしは嫌だけど、それでそちらの気が済むなら……。
そう思って、とりあえず黙ったまま好きなように言わせておこうとした時だった。
「アンタといい、紺野梨花といい、たいして可愛くもないくせに、調子乗ってんじゃないわよ」
――プッツン。
この一言で、私はとうとうキレました。
「今の言葉、梨花さんのところは訂正してください!」
大きな声で言い返したものだから、廊下にいた人たちや通り過ぎていく人たちが何事かとこっちを見てくる。
でも、私は気にしないで続けた。
「梨花さんのところは訂正してください!」
「はあ?」
「私のことは何を言われてもいいです!でも、梨花さんのことは悪く言わないでください!」
……だって、先輩が好きになった人だから。
好きな人が好きになった人だから、悪口言われてしまうのは嫌だ。
「少なくとも梨花さんは、あなた方よりもずーっと素敵な人ですっ!!」
柊先輩が忘れられないくらい。
誰かの心にずっと残るくらい、素敵な人なんだから……。