5月。
忌まわしき相手、テストというものがやってきました。
中間テストだから教科はそんなにないけど、それでも高校のテストって範囲がすごく広いから大変。
「あぁ……どうしよう……!」
私はそのテストが日に日に近づいてくる度に、心に鉛がのしかかっていくような気分になる。
「数学、猛勉強しないとねー」
「そ、そうだね……!」
菜々が私を見て、からかうように言う。
何故なら私は、数学が大の苦手なのだ。
他の教科なら人並みにはできるんだけど、数学とだけはどうしても仲良くなれないみたいで、今までに40点以上は取れたことがない。
1年生の時はなんとか赤点は免れたけど、2年生になって内容はさらに難しくなり、もう毎時間のようにちんぷんかんぷんのまま授業を終えている。
こんな状態のままテストなんてやったらもちろんやばい。しかも今年の数学の先生は厳しいと有名で、今回のテストも期末テストもダメだった生徒には、夏休みにスパルタ補習を迎えることになる。
そんなの……絶対に嫌だ!
「うあーん!私、絶対赤点確定だよぉー!」
「だったら、内村先輩に教えてもらえばいいじゃん」