先輩の目が大きく見開いたあと、少し切なそうに細められた。


「かえでちゃん……。俺が今朝何であんなこと言ったかわかる?拒絶とかじゃなくて、君のために言ったんだよ」


「え……」


「梨花に彼氏がいることは知ってる?」


「……!?」


知ってるも何も、さっき彼氏らしき人と帰っていくのを見たもん。
でも、柊先輩が傷つくと思って何も言わないって決めて……。


知らないふりをするのがいいのか、それとも正直に話したほうがいいのか迷っていると、柊先輩のほうから話してくれた。


「梨花にはね、中学の時から付き合ってる彼氏がいるんだ。高校も一緒で……たまに部活を休んで一緒に帰ったりしてるらしい。まあ、マネージャーは他にも何人かいるからそれは問題ないんだけどね」


中学の時からずっと付き合ってて、今でもそういう関係が続いてるなんて、率直な感想してはすごいの一言につきる。


中学生の恋愛なんて、長続きのしない軽いものだってイメージが強いし、私も実際本気で好きになった人とかいなかったから。


だから、きっと梨花先輩とその彼氏さんには、強い絆が結ばれてるんだろうなぁって……。


だからこそ、柊先輩のことを考えると、胸が締めつけられるように痛い。