「また“柊先輩”のところに行くのか」



6時間目の授業も帰りのSHRも終わり、帰り支度を済ましている時。


5時間目と同じ膨れっ面のまま、西崎は私の席にやって来て唐突にそう言った。


「え、うん。それがどうしたの?」


「俺も行く」


「えっ!? 何で?」


「何でも」


突然の申し出に、思わず戸惑ってしまう。


西崎って柊先輩と知り合いだったっけ?
ていうか、バスケ部に友達とかいなかったよね?


「別に俺が行ったって問題ないだろ?かえでだって、バスケ部の関係者とかじゃねえんだし」


「それはそうだけど……西崎は部活あるんじゃないの?」


西崎はサッカー部。バスケ部と同じように、毎日のように練習はあるはず。


「休む。今日は顧問もキャプテンも用事でいないから、やることなんて筋トレぐらいだし」


「あぁ……そうなんだ……」


まあ、いっか。菜々ほど詳しい状況を知ってるわけじゃないけど、西崎も私が柊先輩を好きだってことは充分知ってるはず。邪魔するようなことはないだろうし、もしかしたら協力してもらえるかもしれない。


味方はいっぱいいたほうが心強いもんね!


「ほら、ぼけっとしてねえでとっとと行くぞ」


「う、うんっ」