突然名前を呼ばれて、私は条件反射で慌てて姿勢を正す。
その拍子に、机の上にあったノートや教科書やらがバサバサと落ちてしまい、コントみたいなその状況にクラスのみんなに笑われた。


「 こら、何ぼーっとしてんだ。授業に集中しなさい」


「あ……すいません」


いつの間にか私の席にまで来ていた先生に注意を受けて、授業中だったことを思い出す。


今日はなんか、ぼーっとしてるところに声をかけられることが多いなぁ……。


「よし、じゃあ三島。次の問4答えてみろ」


「ごめんなさい。先生もご存知かと思いますが、授業を聞いていなかったのでわかりません」


堂々と言ってのける私に、先生は怒りマークを見せ、クラスのみんなはまた大笑い。


先生も呆れ返ったのか、「しょうがないな」と教卓に戻り、授業を再開させた。


まあ、授業を聞いてたとしても、数学は大の苦手だからたぶんわかんなかったと思うんだけどね。


先生ごめん、と心の中でもう一度謝ってから、私も今度はきちんと授業に参加する。


ノートをとろうと黒板に視線を向ける途中で、ふと西崎と目が合った。


「……西崎?」


西崎は何か怒ってるのか、むすっとした顔をしいて。
私と目が合うと、すぐにその膨れっ面を逸らしてしまった。