昼休み終了を知らせるチャイムが鳴り響く。


「わっ!もうこんな時間!次、移動教室だったの忘れてたー!」


梨花先輩が、慌ててお弁当箱を片付けて立ち上がった。



「かえでちゃん。柊のこと、大切にしてあげてね」



まだ付き合ってもいないのに、まるで“よろしくね”とでも言われてるみたい。
そんな意味深な言葉を残して、梨花先輩は先に屋上をあとにした。


「大切にって……どういう意味だろうね」


「うん……」


名前で呼び合っていたり、あんな意味深なことをわざわざ私に言ってきたり。
梨花先輩と柊先輩は、一体どういう関係なんだろう。


私がただ一言“好き”と言った時、梨花先輩は何故か一瞬寂しそうな顔をした。


わからない、けど。



二人の間に、何かしらの強い絆があるのは確かだった……。



「あ!あたしたちも教室戻るよ、かえで!」


「う、うん」



『柊のこと、大切にしてあげてね』



でも、梨花先輩……。
そんなこと言われても、私には無理だと思います。



『好きになってもらうほど、俺はいい人間じゃないから』



ごめんなさい。梨花先輩。


先輩にはもう完全にフラれてしまったんです……。