「好きなんです」
真剣に言った私を、菜々と梨花先輩は目を丸くして見つめる。
はっと我に返ると急に恥ずかしくなっちゃって、私は真っ赤になる頬を両手で抑えた。
「すすすすみません!なんか全然答えになってなくて!」
「ううん、そんなことない。ただ好きっていうのも、すごく素敵なことだと思うよ」
柔らかく笑って、梨花先輩が言う。
「どこが好きとか、どういうところがいいとか、そういうのがないのに惹かれてしまうのは、きっと心が『この人が自分の運命の人だ』って感じてるからなんじゃないかな」
「心が……」
「うん、そう。そういう相手に出会えることはほとんどないから、心が一目惚れした相手は大切にしたほうがいいと思うよ」
心が一目惚れ……なんて素敵な考え方なんだろう。
梨花先輩の言葉が染みる。
ふんわり微笑む梨花先輩が、私にはキラキラ輝いて見えた。
素敵な人は、こんなにも素敵な考え方ができるんだなぁ……。
こんな人相手に、私なんかが勝てる部分なんてあるのかなぁ……。
――キーンコーンカーンコーン……。