無理矢理聞き出すのではなく、いつか会長が話してくれる時まで待とう。


「私、会長が話してくれるまで待ちますね」


宣言すると、水樹先輩は目を細めて頷き──


「……それを聞いたら、君は白鳥を好きになるのかな?」

「……え?」

「そうすれば、俺は君を……」


先輩の表情が曇って、悲しいものになる。

風が、先輩の白いシャツを少しだけ膨らませ通り過ぎて。


「……先輩……」


まただ、と思った。

私の知っている先輩は、こんな顔をすることがあっただろうか。

そして、時々零す言葉の意味。

それらを量りかねていたら。