どこに行くのか。
どんな用事なのか。
聞きたいことはあるけど、やっぱり会長の話が気になったままの私。
本人がいないところで悪いかなと思いつつも、自分が関わっているようなので教えてもらえるなら知りたくて。
「さっきの、何だったんですか?」
問いかけると、水樹先輩は歩きながら私を見た。
「白鳥の?」
「はい」
首を縦に振れば、先輩は困ったように微笑んだ。
「そうだよね。俺、君のこと口にしたもんなぁ」
そして、「だけど、ごめん」と続ける。
「それは本人から聞くのが一番いいよ。まあ、俺もなんとなくしか聞いてないから、肝心な部分は知らないんだけどね」
本人から……
そうだよね。
会長が焦ったということは、あまりされたくない話なんだろう。
それに、水樹先輩もなんとなくしか知らないなら、会長にとっては大切な事なんだ。
そんな話を誰かに勝手にされたら、会長だって嫌なはず。