そういえば、裏庭で水樹先輩と過ごすのって初めてかも。

いつもは生徒会室か、もしくは先輩のお気に入りスポットの屋上。

この屋上で、私は水樹先輩と出会えたんだよね。


少し懐かしい気持ちになりながら、水樹先輩に視線を向けると──


先輩は、遠い眼差しで……


屋上のあたりを、見つめていた。


「……屋上、行きたいんですか?」

「……ううん。ここの方が涼しいし」


答える水樹先輩の視線は、まだ屋上を見つめたまま。

ぼんやりとした様子に、私はどうしたのかと瞬きを繰り返していたら。


「あんまり、好きじゃないしね」


そう、先輩は声を零した。