全身びしょ濡れの赤名君が会長に声をかける。
「会長も水浴びどうですかー?」
その誘いに、プールの壁を磨いていた会長が首を横に振った。
「そんなことをしたら水も滴るなんとやらになって、真奈ちゃんと副会長で俺の取り合いになるだろう」
至って真面目な顔で言ってのける。
会長の言葉に三重野先輩が眉を吊り上げた。
「バッカじゃないの? 絶対ないから安心してちょうだい」
そして、三重野先輩は続けて、遊んでないでしっかり掃除してと私たちに渇を入れる。
と、とりあえずホースは私が使っていいのかな?
そう思って移動しようとした瞬間。
──ツルッ。
私の足が床を滑る。
グラリと見える景色が方向を変え……
どこかで、この感覚を味わったことがあると感じた。