三重野先輩の指摘に会長が首を傾げた。


「え、そうだっけ?」


腕を組んでキョトンとした会長。

三重野先輩はイラつきを露にしながら、再び深く息を吐き出した。


「今朝、あなたが勝手に先生と約束してきたのだけど」


あ……なるほど。

朝、三重野先輩が『みんなの仕事がひと段落したら頼みたいことがあるから少しミーティングします』と言ってたけど、プール清掃のことだったんだ。

納得していると、私の向かい側に座る藍君がめんどくさそうに声にする。


「掃除とか最悪」


そんな藍君の隣に座る赤名君は、瞳を輝かせて。


「さすがです会長! 自ら引き受けるなんて生徒の鏡ですね!」


今日も通常運転で会長を絶賛リスペクト。

すっかり忘れていたらしき会長は、赤名君にヨイショされて忘れてたとは言えないようで。


「そ、そうだろうそうだろう。どう? 真奈ちゃん。惚れ直した?」


得意げにしながら私に聞いてくる。

けれど、その問いかけに答えたのは私ではなく……