私を見つめながら、少しだけ頬を緩ませた水樹先輩。
あれが全て夢だったとしても、悲しかった気持ちが残っているせいか会えたことがすごく嬉しくて。
肩で息をしながらも先輩の存在に安堵していたら、藍君が真顔で一言。
「何興奮してんの」
いまだ息を荒くしたままの私に言い放った。
興奮なんてしてないと伝える前に、会長がハハハと笑う。
「そんなわかりきったことを。俺のフェロモンに当てられて発情してるんだよ」
もっと違う!
そんな心の叫びを知ってか知らずか、副会長の三重野先輩がイライラオーラを発しながら会長を呆れたように睨んで。
「あなた、本当にバカじゃないの?」
バカの部分を強調して言った。
会長がバカかどうかはともかく。
「発情も興奮もしてません! 急いで来ただけですっ」
間違いはしっかり正さないと、私というキャラが変態みたいに認識されてしまう。