「……よし、顔洗ってこよう」
今日、8月31日は日曜日。
平日と土曜は畑仕事をしているおじいちゃんも今日は休みだ。
といっても、いつでも早寝早起きなおじいちゃんは、休みといえども早くから朝食を準備してくれていて、私が起きるころにはテーブルの上にラップに包まれた和食が置かれているのだ。
で、おじいちゃんは自分の部屋で趣味の囲碁にふけっている。
今日もそんな光景があると思っていた……のだけど。
「……あれれ?」
私の部屋と居間を結ぶ襖を開け、私は首を傾げた。
日曜の朝恒例の景色が、そこにはなかったからだ。
テーブルの上に、朝食はある。
でも、それはラップを被されたものではなく。
「なーにを呆けてるんだ。はよう顔を洗ってきなさい」
「え? あ……は、い」
促されるままに私は居間を抜けて洗面所へと入った。
そして、パジャマ姿で寝癖のついた自分を鏡越しに見る。