なんで、一瞬でも諦めてしまったんだろう。


水樹先輩も、みんなも。


こんなに必死に手を差し伸べてくれているのに。


「……っ!」


負けたくない。


諦めない。



運命なんて言葉に、振り回されない!



私は、水樹先輩のてのひらを強く握り返す。

すると、水樹先輩もしっかりと握り締めてくれて。


みんなの力強さと、私たちの間にある絆の強さ。

その両方を体と心で感じながら、私は──



"2人がいる夏"を




手に入れた。