──ジリリリリ。


耳慣れたベル音が遠くから聞こえてくる。

それが私の愛用している目覚まし時計のものだと気づくまで、どれほど時間がかかっただろうか。

10秒か。

20秒か。

もしかしたらもっと長かったかもしれない。

とにかく私は、時間の感覚も忘れるくらい、今の状況に混乱していた。


さっきまで学校の屋上にいたはずなのに。

どうして今、私は自分のベッドの上にいるのだろう。


もしかして……全部、夢だったとか?

それならかなり納得がいく。

だって、水樹先輩の存在が消えたなんて信じられない。

普通に考えてありえないことだ。

そうだよ。

きっと夢を見ていたんだ。