最悪、水樹先輩まで巻き込んでしまうのでは、と。
私の為に、水樹先輩が死んでしまってはダメ。
そう思った途端、変な覚悟ができてしまった。
明日を、その先を生きることを諦めたくはない。
でも、好きな人には生きて欲しい。
どうか、私を諦めて。
その想いに辿り着いた時、水樹先輩が自分を犠牲にして未来を諦めた気持ちを深く理解できた気がした。
大切だから。
大好きだから。
幸せになって欲しい。
笑っていて欲しい。
綺麗な想いから生まれた身勝手な願い。
それを胸に、掴み返していた手の力を緩めようとしたら。
「真奈ちゃんっ! 絶対離しちゃだめだ!」
許さないとばかりに、水樹先輩が私の手首を更に強く握った。