右手首に感じる力強い何か。


見上げると、そこには。


「水樹……先輩?」


私の手首をしっかりと片手で掴む、水樹先輩がいた。


「真奈ちゃん……!」


片腕だけで私の命を繋いでいる水樹先輩の顔には苦痛の色。

このままじゃ、水樹先輩まで巻き込んでしまう!


私は焦り、足場になるようなものはないかと視線を下げ探したけど、何も見当たらない。

それどころか、自分の足がぶらぶらと宙に揺れるのを確認してしまい、パニックを起こしそうになった。

心臓がバクバクと暴れ体が震える。


「しっかり掴まって!」


励ます水樹先輩の声に、私は瞳に涙を滲ませた。

彼の必死な優しさに、ふと思ってしまったのだ。

このパニック寸前の状況でも。