水樹先輩の姿は、すでに細い路地の奥を右に曲がるところで。
「水樹先輩っ!」
呼び止めようとしたけど、先輩は気付かずに曲がりきってしまう。
それなら電話でと思い、スマホを操作し水樹先輩の名前をタップした。
でも──
「なんで繋がらないの!?」
かけ直しても、接続できないというアナウンスが流れるだけ。
本当に、邪魔されている気がする。
この状況は、よくないことばかりを連想させて、私は泣きそうになるのをグッと堪えた。
泣いたって何かが変わるわけじゃない。
今はとにかく水樹先輩を追いかけよう。
途中、何度か見失いかけながらも走り続けた私が辿り着いた場所は……
瑚玉学園。