「今まで見た悲しい未来より、目の前にいる私を信じてください」
今ここに生きている私の未来を、信じてください。
依然、叩きつけるような雨音を聞きながら、私は祈るように水樹先輩を見つめていた。
私が今感じている想いは、余すことなく言葉にできた。
これでも先輩が諦めてしまうというなら、どうしたらいいのだろう。
タイムリミットはもう余り長くないのに。
胸中で渦巻く不安。
それを必死に隠しながら、私が水樹先輩の言葉を待っていると。
「……ごめん」
謝罪の声に、私の心が深く深く沈んでいく。
泣きたくなって、俯きかけた時──
「少しだけ、時間が欲しい」
希望の光が差し込んだ。