「……初めての事もたくさんあったよ」
そして、少しだけ笑んで。
「だから、期待したんだ。俺だけじゃ変えられなかった夏を、今の君とならって思えた」
「それならっ──」
「でも……結局、大きな流れは変えられない」
私の声を遮る先輩の声は、少しだけ強く、有無を言わさないようなものが込められていた。
「子猫は死んだ。それも、あんな無残な形で」
死の運命は変えられないのだと、先輩は悲しそうに告げる。
「だから、もうこれ以上抗ったらだめなんだ。じゃないと……真奈ちゃんまで……」
「私は大丈夫ですよ」
「絶対にとは言い切れないだろ?」
「そうですね。でも、きっとみんなそうです。そうやって生きてる」