「だから真奈ちゃん。俺は、もう君の傍にはいられないんだ」
ひどい突き放し方をしてごめん。
だけど、仕方なかったと掠れた声で話されて。
私は……何も、言えなかった。
どれだけ、水樹先輩が私の為を想って拒絶したのかが、わかってしまったから。
どれだけ、水樹先輩が私の事を大切に想ってくれているかが、わかってしまったから。
「俺は、君を失うのは嫌だ。例え俺が消えてしまっても、君がいない未来を生きて苦しむよりずっといい」
「水樹先輩……」
「真奈ちゃんが生きていけるなら、それだけでいい。だから、君が事故に遭う前に君から逃げてしまう俺を許して」
……ああ。
そういうことだったんだ。
水樹先輩が夏を繰り返しているのは、私のせいで。
未来を諦めたのも、私のせい。