頑張れ。


優しい会長の声に頷いた私は、スマホを鞄に戻すと藍君に向き直る。


「ごめん。私、今から」

「影沢先輩だろ? いいから急げ」


藍君の口元が、僅かに弓なりになって。


「うん!」


私は首を強く立てに振ると、踵を返して走り出し、バス停を離れた。



水樹先輩。


水樹先輩。



お願いだから



どこにもいかないで。