会長の話を聞いていて、少し薄れつつあった痛みがまたぶり返す。
そんな私の様子に気付いたのか……
「だから、今の俺があるのは真奈ちゃんのおかげ」
会長の優しい声が私の鼓膜を通り、温かい気持ちが心に届く。
だけど、私はさっきから申し訳ない気持ちでいた。
会長は私との思い出を大切にしていてくれていたのに、私は少しも覚えてないのだ。
「あの……思い出せるよう努力しますね」
そう言うと、会長は笑って頭を振る。
「君が俺を変えてくれた。それだけで十分。だから、その努力は水樹に向けてやって」
「水樹先輩に……?」
「そ。ぶつかってやってよ。何が原因かは知らないけど、君ならきっと、水樹だって変えられる」