「それをさー、水樹にはちょっと話したことがあったんだけど、アイツ、君に言おうとした事あって焦ったわ」
……それって。
『ねえ、真奈ちゃん知ってる? 白鳥がどうして君を──』
会長が慌てて遮った時の?
「言うつもりはなかったけど、言うならせめて俺の口から言いたいからね。焦ったよ」
苦笑する会長に、私は微笑みを向けた。
「話してもらえて良かったです」
水樹先輩も言っていた。
本人から聞くのが一番いいよって。
きっと、大切な話し。
だから私も、いつか会長が話してくれるまで待つと、そう返したんだ。
それは……こんな事になるなんて知らなかった、穏やかな夏の一幕。