「どうしたって変えられない。命の終わりからは逃げられないんだ」


そして、水樹先輩の憂うような視線が。


「……このままだと、また俺は……」


私に注がれ、揺れた。


これに似た瞳を、前にも見た。


プール清掃で、滑ってしまい助けてもらった時だ。

あの泣きそうな水樹先輩と、今の先輩は、とても似ている。


なんて声をかけたらいいのかわからなくて、ただ、水樹先輩の視線を受け止めていたら。


「ほら、行こう」


会長が水樹先輩の横に並び、背中を優しく叩いて歩くことを促した。

水樹先輩は頷きはしなかったけど、足を前に出して歩き始める。



学園への帰り道。



みんなの口数は少なく。



いつもはうるさい蝉の声も、どこか遠くに聞こえていた。