「味付けだよ?」
見ればわかるでしょと思いながら返すと、藍君はながーい溜め息を吐いた。
「そんな大量に唐辛子ぶっかけるとか、どこのキチガイだ」
会長が私たちの背後で「俺がそのキチガイになる!」とか言ってくれてるけど、今は藍君へ自分の意見を述べなければ。
「ひどいよ藍君。これはね、赤い彩りを添えようとね」
「だったらプチトマトとかあるだろっ」
あれだなぁ。
藍君は料理のことになるとちょっとムキになる人だよね。
でも、それなら尚更言いたい。
「藍君ならわかるでしょ? 料理は感覚で勝負!」
いつだったか料理番組で聞いたセリフを口にすると。
「それはその才能に恵まれたやつだけ。もういいから、アンタは肉の焼き加減頼む」
味付け係を降ろされてしまった。
私が仕方なく「はーい」と返事すると、クスクスと笑う水樹先輩から串を渡される。