ちなみに、キャンプ場の予約は副会長がしてくれたらしい。
それと、キャンプ場で借りれないようなものは会長と赤名君が持ってきてくれる手はずだ。
きっと今日も騒がしく楽しい一日になるだろう。
ただ……気になるのは、水樹先輩のこと。
昨日、あの後の水樹先輩は普通だった……と、思う。
体育館裏から戻るときも、帰りも、私に対する態度はいつもと変わらなかった。
だからきっと、私が水樹先輩の言葉の真意を知りたがり、しつこく触れたりしなければ問題はない。
気になるけど、先輩が望まないなら踏み込んじゃダメ。
でも、もしも──
「それが、消えてしまう原因だとしたら……?」
不吉なことを口にした途端、私の中に不安が広がっていく。
と、そこへ電車の到着を告げるアナウンスが流れて顔を上げたら。
「望月」
名前を呼ばれ、声のした方向に顔を向けると、ピンクのTシャツに七分丈のパーカーを羽織った藍君が立っていた。
両手はベージュのクロップドパンツのポケットに突っ込まれている。