「そっか。じゃ、鍵だけよろしく」
「はい」
夕日の差し込む生徒会室には、もう私と会長の2人しか残ってない。
会長は扉を引いて開けると、私を振り返る。
「あのさ」
斜めに流した会長の前髪が、少しだけ彼の目にかかる。
けれど、会長はそれを気に留めた様子もなく、瞳を細めて。
「真奈ちゃんがいるっていうなら、俺は信じるよ」
「……え?」
「その、水樹って男のコト」
「会長……」
「この俺のコトよりも気にかけてるなんてちょっと妬けるけど」
探すなら、俺も協力するよ。
ウインクと共に言葉を残して、会長は生徒会室の扉の向こうに消えた。