「僕じゃないっ!」


危機一髪のところで、赤名君の叫ぶような声が辺りに響き、彼らの動きがぴたりと止まる。


「みんなのお金を盗んだのは、僕じゃない」


再び赤名君が声を発すると、彼らのうちの誰かが「まーた始まった」と言った。


「見たって奴が言ってんだ。見られてんだよ」

「盗ったのは……別のやつだよ。僕は、そいつが盗ってるのを見たんだ」


赤名君の言い分に、3人が呆れたように笑う。


「だからお前さ、前もそう言って結局誰か言わないままだったろ」

「自分が犯人だから言えないんだろ?」


責められて、赤名君は首を横に振った。


「……違う。……だったから」

「あ?」


聞き返されると、俯き加減だった赤名君はゆっくりと顔を上げて。


「親友だったから、言えなかった」


少し辛そうに、告白した。