「あのさ、お前の連絡先教えてよ。あと住所な。また金足りなくなったらよろしく」


その言葉に、赤名君の顔が見る見る青ざめていく。


やっぱり間違いない。

これが……この人たちが、赤名君から笑顔を奪ったんだ。

確信した私は、このまま見ているだけなんて耐えられなくて。


「返してあげて!」


意を決して、彼らの前に躍り出た。

赤名君を含め、元クラスメイトたちの目が一瞬驚いて丸くなる。

けれど、赤名君以外の人たちの表情は、すぐに嘲笑めいたものに変わった。


「なーんだ。赤名の可愛いオトモダチじゃん」


本当は、ちょっと怖かった。

だけど……何もせずに成り行きを見守るよりはきっと、何かを変えられるはずだから。

いい方向に変化することを信じて、私はもう一度お願いする。


「お金、赤名君に返してください」


今度はもう少し落ち着いた口調で。

──でも、彼らはうざったそうに私を見ると。


「うっせーな。いい子ぶってんなよ」


一番近くにいた、目つきの鋭い人が私を乱暴に突き飛ばした。