それを誤魔化すように「歩きながら寝ないでくださいね」と冗談を言って笑うと。


「そうなったらまた起こしてね」


水樹先輩は楽しそうに声を返してきた。

そして、2人で廊下を歩いていると。


「あっれー。まだいたんだ?」

「赤名君」


白と青が基調になっているサッカー部の練習着を着た赤名君に出会った。

鞄を肩にかけた水樹先輩が口元に笑みを浮かべる。


「今日は部活だったんだ」

「そうです。お2人は?」

「忘れ物しちゃって」

「寝てた」

「まあ、どっちもらしいというか」


アハハと笑う赤名君。

──と、彼が手にしているペットボトルを見て私は少し驚いた。