「水樹先輩」


もう一度声を掛けると、机にうつ伏せていた水樹先輩が「なにー…?」と言いながら体を起こした。


「ダメですよ、寝てたら」

「大丈夫。真奈ちゃんが起こしてくれるから」


寝起き声で言うと、水樹先輩は大きく伸びをする。


「何言ってるんですか。私が忘れ物して戻ってこなかったら、警備員さんにお世話になるコースじゃないですか」

「うん。でも、大丈夫なんだ。今日はここで寝ても平気な日」


……もう。

本当に水樹先輩はマイペースなんだから。


「忘れ物は?」

「鞄に入れましたよ」

「そっか。じゃあ、一緒に帰ろ」


ニコッと笑みを向けられて、一緒に帰れる嬉しさにニヤケそうになる。