最後は拳を握り、選挙カーの上に立つ政治家みたいに話す赤名君。

そんな赤名君に、藍君が「で?」と何が言いたいのかを促した。


「つまり、皆さんにバイトを手伝って欲しいんです、僕」


……あれ?

バイトって……

私は思い当たることがあって。


「それって、海の家?」


あ、やばい。


「うぉっ。もっちーすっごい。何でわかったの?」


うっかり、覚えのある状況だったから質問してしまった。


「ほ、ほら。夏をお金に換えると言えば、ね? 海の家ですよねぇ?」


同意を求めて横に座っている水樹先輩に話を振ると。


「うん。この夏はプライスレス」


……どこかで聞いたような言い回しで返されてしまった。