「それで……神隠しについて覚えてる事、だよね」


高杉さんの声に、畳の上に敷かれた座布団にお行儀よく正座している三重野先輩が頷いた。

次いで、三重野先輩の隣に座る会長が自分のスマホを操作して、図書室にあった文字を高杉さんに見せる。


「さっそくですけどこれ、高杉さんが書いたものですか?」


少し拡大されたその文字を見た高杉さんは、苦笑いを浮かべた。


「あー…これね。書いたのは覚えてるけど、どうして書いたのかは覚えてないんだ」


答えた高杉さんに、三重野先輩が問いかける。


「内容に覚えは?」

「書いた理由はわからないけど、神隠しの事ではあるよ。当時、誰かが言ってたんだ。何かに対する想いが強ければ強いほど、連れて行かれるって」


その事だと、高杉さんは話してくれた。

連れて行かれるとは、神隠しのことだろう。

強い想いが神隠しの原因になる、ということ?

じゃあ……高杉さんの彼女さんは、何か強い想いを抱えていたんだろうか。