「君を、また……」


何かを言いかけると、水樹先輩はゆっくりと瞼を降ろして瞳を隠した。

そうして、聞こえてきたのは……


静かな寝息。


「え……また寝ちゃったの?」


先輩の綺麗な指は、相変わらず私の指と絡まったまま。


「ど、どうしよう」


本音を言えば、このまま繋いでいたい。

だけど、私は先輩を起こしに来たのだ。

でも、できるなら、好きな人の温もりをまだ感じていたくて。

ドキドキしながら悩んでいたら。


「もっちー? 先輩起きないのー?」


突如耳に届いた赤名君の声に心臓が大きく跳ね上がる。