ボブカットの柔らかくカールされた毛先が鎖骨のあたりで揺れて、ユリのような清楚で上品な香りが鼻をくすぐった。


「何か用?」


陶器のように白い肌。

ホリは浅いけれど美しい顔立ちをした三重野先輩は、少しイライラしたトゲのある声を返す。


「時間がないから手短にね」


先輩はせっかちでちょっと怒りっぽい。

特に会長とは馬が合わないのかよく喧嘩している。

まあ、喧嘩と言っても会長があんな感じなのでただ一方的に三重野先輩が怒りをぶちまけているように見えなくもないんだけど。


「あの、今日はまだ水樹先輩は来てませんか?」

「みずき?」

「はい」


頷いたものの、目の前の三重野先輩の表情が、藍君の時と似ていて。

ドクン、ドクンと、心臓が不安に駆られて早鐘を打つ。