「俺のビーナスは相変わらず照れ屋さんだな」
困ったやつだと言わんばかりに微笑みながら肩をすくめる会長。
「ああ、違うか。俺が眩しすぎてどうしたらいいのかわからないんだな」
……そう。
本来ならモテモテであろうこの人が、女生徒にあまり騒がれないのはこのちょっと残念な中身が原因だったりする。
容姿も頭もいいのに、ナルシストとか本当に残念だなぁ……って、そんなことより水樹先輩だ。
私は生徒会室を見渡して水樹先輩の姿を探した。
けれど、今ここにいるのは会長と副会長、それから、いまだ元気がない赤名君だけ。
藍君はまだ自分の教室からこっちに向かっている最中だろうか。
だったら水樹先輩も?
そんな風に考えつつ、私は副会長に話しかけた。
「あの、三重野(みえの)先輩」
副会長の三重野 光(ひかり)先輩は、これから行われるミーティングの資料を手にしながら私を見る。