それから、私は……
確か、考えた。
いないはずはないって。
階段を上がる先輩の姿は見たし、その先には屋上しかないんだって……
そんな風に考えた……気がする。
その後は?
どうしたんだっけ。
先輩の姿を見つけた?
そこで目が覚めた?
何かが掴めそうで掴めないような感覚に自然と顔が強張っていく。
──不意に、力強い夏の風が吹いて。
その風の音に紛れるように……
「あぶないよ」
突然の、水樹先輩の声。
驚いて勢い良く振り返ると、水樹先輩はドアの前に立って私を見つめていた。
「水樹先輩……まだ、残ってたんですね」