「そういえば、古典の日長(ひなが)先生は学園に勤めて長いらしいの。今週は夏季休暇でいないから、来週、時間を見て話を聞きましょう」


どうやら伝え忘れていたらしく、あとでみんなにも連絡をしておくと言って帰って行った。

三重野先輩がこういうのを忘れるのは珍しい。

そこまで先輩の頭の中はストラップのことでいっぱいだったんだろうと思うと、無意識に笑みが漏れてしまう。


小さくなる三重野先輩の背中に向かって手を振って。

その姿が完全に見えなくなると、水樹先輩が私を振り返った。


「遅くなったけど、休憩する?」


そうだった。

休憩しようってスーパー目指してたんだった。


「はいっ」


私は頷くと、川の水を蹴って歩く。


「滑らないように気をつけて」


注意されて、水樹先輩が微笑みながら手を差し伸べてくれた……その、刹那。