「その様子だと、何か探し物?」
「……まあ、そんなところかしら」
曖昧に答えて、三重野先輩はまた背中を丸めて草を掻き分ける。
……もしかして、この為に急いで帰ったのかな?
だとしたら、きっと三重野先輩にとってよほど大切なものなんだろう。
「……あの、水樹先輩」
「いいよ。君の好きなようにして」
「すみませんっ。ありがとうございます」
私は水樹先輩に礼を述べてから、さらに三重野先輩へと近づき話かけた。
「手伝います。何を落としたんですか?」
持っていた鞄を地面に下ろし、三重野先輩がしているように草を掻き分ける。
けれど、三重野先輩は頭を振った。
「本当にいいの、私一人で探すから。あなた達はスノコを探すんでしょ?」
「それならもうゲットしたよ。ほら」
水樹先輩が大きな袋に入ったスノコを少し持ち上げてアピールする。