生温い風が、肉の薄い葉を揺らす。
会場に流れるお囃子に混ざる葉の擦れ合う音を聞きながら、ピーチシロップたっぷりのカキ氷をストローですくった。
口に含むとひんやりとした感覚が喉を通っていく。
着慣れない浴衣と、夏の気温のせいだけじゃない体の熱を冷ましてくれるようだ。
昨日、あの後、戻ろうと促されて自然に手を離したけど……
先輩、嫌じゃなかったかな?
繋ぎ止めてくれたくらいだし、嫌悪はされてなかったと思いたい。
むしろ、そうであってと願いながらもう一口氷を含んだところで、会長が「つまりだ」と少し強めの声で言った。
「結論から言うと、昨夜の探索では、神隠しが本当にあり、なぜそれが起こるかという原因を突き止めることは叶わなかった」
会長が話してるのは、もちろん昨日の夜の事。
今日は土曜日で生徒会の仕事も休み。
なので、昨日はきちんとまとめられなかった神隠しについての話をさっきからしているところだ。
「でも、真奈ちゃんが見つけたこの謎のメッセージが……」
そう言いながら、会長はジーンズのポケットからイエローカラーのスマホを取り出し、私が図書室で撮った写真を表示させると私たちに見せる。