当然、そのせいで他のみんなも気付いて。
水樹先輩が怖がる私の顔を覗き込む。
「どうかした?」
ふわりと、水樹先輩からする柔らかいいい香りに、トクンとときめく私の恋心。
恐怖に慄いたばかりなのに、好きの気持ちって本当にすごいなぁ……
じゃなくて!
「あ、藍君が、髪の長い女の人を見たって……」
伝えると、水樹先輩は怖がるでもなく不思議そうな顔で藍君を見た。
「そうなの?」
「はい。一瞬……ですけど」
藍君の話に会長が首を傾げる。
「副会長。今日は俺たち以外に残ってる生徒は?」
「先生からは私たちだけだと聞いてるけれど……」
三重野先輩が答えると、今度は赤名君が声を出した。
「た、玉森の気のせいなんじゃなくて?」