「真奈ちゃんは俺が大切にするよ」

「よ、嫁にはやらんぞー!」


父親みたいな台詞を口にして悔しがる会長。

2人のやり取りを苦笑いしながら見ていた時……

ふと、藍君が開いたままの扉の向こうにある真っ暗な廊下を、眉をしかめながらジッ…と見つめているのに気付いた。


「どうしたの?」


声をかけると藍君が静かな声で言う。


「……今、誰かいた気がして」


──え。

そ、それって……


「け、警備の人じゃない?」


そうだよ。

きっと私たちが電気消したままうるさくしてるから気になって様子を……


「いや、髪の長い女」

「う、ううううう、嘘でしょっ!?」


恐怖で思わず大きな声を出してしまった。