私は精一杯明るく笑ってみたけど、自分でも感じるぎこちなさ。
それはみんなにも伝わってしまっているようで、水樹先輩はクスクスと笑い、会長に至っては「怖がる姿も可愛い」とか言っている。
もうっ、2人とも面白がって。
「少しだけ苦手なだけですっ」
いらない意地を張って告げてみるも、水樹先輩はまだ小さく笑っている。
まあ、水樹先輩だからいいか、なんて思った刹那……
思い出す。
水樹先輩の存在が、消えてしまったあの悲しい夏を。
ドクンッと、心臓が嫌な音を立てて跳ねる。
もしも、神隠しが本当にあって
それが
水樹先輩の身に起こるのだとしたら?
恐ろしい考えに、私は思わず両手を胸に寄せる。