──バタバタバタ。


誰かが廊下を走る足音が聞こえて、私は書記の仕事をしていた手を止めて顔を上げた。

隣に座る水樹先輩も気付いたのか、視線を生徒会室の扉に向けた瞬間、その扉が勢いよく開いて。


「僕の責任です会長おおっ!」


半泣き状態の赤名君が現れた。

会長はちょっとだけ心配そうに眉を寄せる。


「どうした?」

「ヤキソバがいないんです!」


オロオロしながら口にした名前は、子猫のもの。

ちなみに命名は生徒会の男子全員で考えたらしい。


茶色の子がヤキソバ。

クリーム色の子がカルボナーラ。

真っ白い子がうどん。


どうやらお昼前に考えたらそうなったらしく、私は三重野先輩と2人、妙に納得してしまったのは記憶に新しい。