水樹先輩の瞳が、頭上に広がる作り物のように綺麗な青空を見つめる。

それから、空に両腕を突き出すように大きく伸びをすれば、明るさを取り戻した声で「真奈ちゃん」と私の名を呼んで。


「ありがとう」


感謝を述べられた。

何に対してかがわからなくて、首をそっと傾げると。


「俺の話を聞いてくれたことと、この子たちの悲しい運命を変えてくれた事」


生徒会として動くアイデアは自分じゃ浮かばなかった。

先輩は言いながら、嬉しそうに目を細める。


「ずっと……諦めてたから、今、すごく嬉しいんだ」


ずっと、という言葉がひっかかったけど、水樹先輩が幸せそうに子猫を眺めているのが、私も嬉しくて。


「あとはいい人に貰われればいいですね」

「うん。そうだね」


今はただ、喜びを分かち合った