「幸運をプレゼントか……」


水樹先輩がストラップを見ながら呟いた。


「プレゼントは嬉しいんですけど、世界を放浪するのはそろそろやめて欲しいんですよね」

「そういえば、真奈ちゃんはおじいさんと2人暮らしだったね」

「はい。ホント、困った父親で」


苦笑して話す私に、水樹先輩は優しく笑いかける。


「でも、こうやってプレゼントをちゃんと使ってる。お父さんの事、大切に思ってる証拠だろ?」


からかうようでもなく、穏やかな声色でそう言われて。

私は、小さく頷いた。


「私の、たった一人の父親だから」


いつも傍にいてくれないのは寂しいし、危ない場所へ行ってないかとか心配になる。

文句だって話したいことだっていっぱいあるけど。


たまに届く手紙に書かれた最後の一文で……


『いつ、どこにいても、真奈の幸せを祈っているよ』


許してしまう私がいる。