先輩の瞳に翻弄されている私を知らないであろう水樹先輩は、やがて笑みを深めて。


「うん、可愛い」


そう言った。


けれど、先輩の視線は私にきたまま。


ね、猫の事ですよね先輩。

私を見ながら返事とか、勘違いしそうになっちゃいますから!

心臓に悪いですから!


あっ! もしかしたら、からかわれてる?

ありえなくはない。

先輩は時々意地悪だったりするから……


「ところでさ」

「は、はいっ」


一人であれこれ考えながらドギマギしていたら、水樹先輩が猫と遊んでいるストラップを指差した。


「それ、なに?」

「ストラップですけど」

「うん。それはわかるけど、何かのキャラ?」


問われて、私は小さく笑った。